抗ヒスタミン剤は、犬のアレルギー治療薬として有名なお薬です。
本記事では、犬のアレルギーに対して抗ヒスタミン剤の有効性について、詳しく解説します。
抗ヒスタミン剤とは
抗ヒスタミン剤は、痒み物質のひとつ「ヒスタミン」が細胞と結合できないように、細胞に先回りしてブロックする薬です。
抗ヒスタミン剤は、主に「痒み」を抑えることを目的に処方されます。
基本的には、副腎皮質ホルモン剤である「ステロイド」などと併用し、治療を進めていくことが多いでしょう。
抗ヒスタミン剤は犬のアレルギー治療に不向き?
まず、抗ヒスタミン剤は、根本的なアレルギー治療薬ではありません。
アレルギーを起こす「ヒスタミン」を体内でブロックすることで、アレルギー症状を抑える薬です。
安価で副作用がほとんどないことから、人はもちろん、犬のアレルギー治療にもよく使われていますが、実は抗ヒスタミン剤は、犬に対して非常に効きにくい薬です。
文献上、犬への抗ヒスタミン剤の有効率は約30%程度とされています。
犬のアレルギーへの抗ヒスタミン剤の使用例
犬のアレルギーに有効な抗ヒスタミン剤の使用タイミングは、アレルギー発症前の段階とされています。
いわゆるアレルギー検査後に「先制攻撃」的な一定期間の投与を行い、効果がなければほかの治療に切り替えるのがベストということですね。
なお、重度のアレルギーを持つ犬に抗ヒスタミン剤を投与したところ、ほとんど効果が確認できなかったという事例も確認されています。
そのため、抗ヒスタミン剤だけを服用しても、あまり良い反応が見られないことは多々あるのです。
重症化した犬のアレルギーには抗ヒスタミン剤以外の薬を試すべき
アレルギーの発症防止には効果的な抗ヒスタミン剤ですが、そもそも犬への有効性が低いお薬です。
そのため、早めに服用しておき、後のアレルギー発症を抑えること以外には、抗ヒスタミン剤は不向きといえます。
もし、抗ヒスタミン剤を服用しているにも関わらず、なかなか症状の改善が見られない場合は獣医師に相談し、他の薬を試すことをおすすめします。
治療方針をコロコロ変えるのは良くありませんが、効果がみられない場合は今の計画を見直したほうが良いかもしれません。
飼い主さんの的確な観察力が改善のカギ
アレルギー性皮膚炎に限らず、治療法の選定は段階を踏んでいきます。
何かを試し、効果がなければ別の方法、また効果がなければ別の方法、と切り替えて一番合った治療法を探していきます。
診察や検査によって分かることもありますが、普段から見ている飼い主さんにしか気づけない変化もあります。
アレルギー性皮膚炎は長く付き合っていく必要があるので、上手に付き合っていく方法を根気強く探していきましょうね。
・抗ヒスタミン剤は犬への有効率が約30%と低い
・使用はアレルギー発症前の「先制攻撃」的なタイミングがベスト
・効かない場合は他の治療薬に切り替えるのが一般的