犬に対するアロマの効果は獣医療の世界でも注目されており、『メディカルアロマ』なる治療法を取り入れている動物病院病院もあります。
この記事では、犬のアレルギーに対するアロマの効果と犬におすすめのアロマオイル、アロマを使用する時の注意点について説明します。
アロマの香りにはリラックス効果がある
アレルギーがある犬にとって、ストレスというのは症状を悪化させる要因にもなります。
痒みというのは痛み以上に耐えがたいともいわれており、アトピーのわんこには日々かなりのストレスがかかっています。
痒みから患部を掻いたり咬んだりと自傷行為を繰り返すと痒みは増していき、更にストレスがかかる悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。
そんなストレスを軽減するために使用したいのが、アロマオイル。
アロマの香りは嗅覚を通じて脳に伝わり、犬の自律神経に働きかけて気持ちを落ち着かせてくれます。
人と同じく、犬もアロマの香りを嗅ぐとリラックスできるといわれており、愛犬のストレス解消に効果が期待できますよ。
アロマ効果は獣医療の分野でも注目されている
獣医療の世界でもアロマの効果は期待されており、メディカルアロマとして注目されています。
メディカルアロマとは、自然治癒力を高めて健康の保持増進につなげることを目的とした代替医療です。
メディカルアロマの種類や効能
メディカルアロマに使う精油は種類も効能も様々で、その犬の症状に合わせてブレンドして使用します。
様々な症状の中でも、アレルギーなどの皮膚トラブルや不眠、食欲不振などの自律神経・免疫機能の低下に対する効果は実証済み。
そのほか、筋肉痛や関節痛、消化器や呼吸器疾患などのケアにも、効果が期待できるといわれています。
・愛犬の症状や体調に合わせた処方ができる
・体への作用が穏やかで、副作用が起こりづらい
・薬と併用できるので、減薬できる可能性あり
愛犬のリラックスを誘うアロマの香り5選
ラベンダー
気持ちを落ち着かせてくれる鎮静効果があるアロマです。
ストレスで緊張した心と身体をリラックスさせてくれるため、興奮の鎮静や無駄吠え抑制に効果が期待できます。
やさしい香りで、古くからスキンケアにも用いられてきた歴史あるオイルです。
ベルガモット
ベルガモットは、まさに柑橘系のスイートな芳香のアロマ。
柑橘系の香りでラベンダーに含まれる鎮静作用成分を多く含んでおり、痛み止めやストレス軽減、安眠効果があります。
日本ではあまり馴染みのない植物ですが、紅茶のフレーバーとしてどこかで嗅いだことはあるかも。
スイートオレンジ
オレンジの香りは私たち人間にとっても馴染み深く、広い世代に人気があります。
気分をリフレッシュさせる効果や昂ぶりを静めてリラックスさせる効果があり、消化促進にも有効です。
イライラの解消や質の高い睡眠にも役立ちます。食欲が出ない、なんとなく元気が出ないといった時など、幅広く使用できますよ。
ジンジャー
スーっとすっきりした香りが特徴的なジンジャーは、薬草やスパイスとして馴染のある生姜の精油です。
感覚を鋭利にさせ、頭の回転を良くする働きがあるといわれており、体を温める作用があります。
乗り物酔いにも有効とされているので、車など乗り物が苦手な犬にもおすすめです。
愛犬にアロマオイルを使用する時の注意点
有害なアロマオイルに注意
アロマオイルの中には、人には無害であっても犬にとっては有害になり得る物も存在します。
特に、グローブやオレガノといったハッカ属の香辛刺激のあるものは要注意。犬に使用することができるといわれているアロマオイルであっても、用法・用量によっては注意が必要な物もあるので、よく確認してから使用しましょう。
ティートゥリーの危険性
ティートゥリーは薬用シャンプーにも配合されている成分ですが、原液のまま使用したり、使用量が多すぎたりすると、皮膚の炎症・痒み・発赤・やけどなど、様々な症状がみられます。
アメリカの「ASPCA Animal Poison Control Center」(中毒管理センター)に寄せられたティーツリーオイルが関わる中毒事故は、2002年~2012年の10年間で300件以上。
オイルとの接触後、2~12時間で「唾液の増加、中枢神経系の機能不全とだるさ、麻痺、運動失調、ふるえ」などの症状がみられました。
こうした背景を踏まえ、アメリカの「ペットポイズンヘルプライン」(Pet Poison Helpline)のホームページ上では、ティーツリーオイルが毒物として扱われるようになっています。
アロマオイルは皮膚に直接付けないこと
アレルギーのある犬は皮膚が敏感になっていて、直接肌に塗布するオイルマッサージは症状を悪化させる可能性があります。
アロマは香りだけでも効能を発揮するので、犬には希釈して香りを楽しめるアロマディフューザーがおすすめ。
使用の際は犬の届かない高い場所にディフューザーを設置するなど、怪我のないように気を付けましょう。
犬の状況に応じて使用しよう
アロマオイルの中には子宮に作用するものもあるので、妊娠中の犬にはおすすめできません。
周囲とのコミュニケーションをスムーズにするためにも、犬社会を学ぶ大切な時期である生後3ヵ月頃までは、アロマは使用しないほうが無難です。
愛犬の体調に変化(過度なよだれ・くしゃみ・床に体をこすりつける・落ち着かないなど)が見られた場合は、すぐに使用を中止しましょう。
まとめ
安全性が高く、獣医療でも注目されてきているアロマ。
上手に利用できれば、愛犬はもちろん、飼い主さんもアロマの香りに癒されることができます。
ぜひこの機会にアロマの知識を身につけて、愛犬が気に入る香りをみつけてあげてみてはいかがでしょうか?