アレルギーとは、特定の物質に対する免疫の過剰反応のことです。
「免疫」はもともと体に害となるものを排除する働きですが、機能になんらかの異常があると誤作動を起こします。
すると、本来は無害であるはずの食べ物や花粉に過剰に反応し、様々な症状が出てしまうのです。
アレルギーが起こる仕組み
体の中にアレルギーの原因となる物質「アレルゲン」が入ると、免疫機能はそれを排除しようとします。
この時、まず初めに動き出すのは免疫細胞で、免疫細胞の指令によって「IgE抗体」というたんぱく質の一種が血液中に作られます。
「IgE抗体」は、皮膚や粘膜(目、鼻、腸、気管支など)に存在するマスト細胞とくっついた状態で、アレルゲンの侵入に備えます。
IgE抗体が体内に入ったアレルゲンをとらえると、同時にヒスタミン、ロイコトリエンなどの物質が放出されます。
ほとんどのアレルギーは、アレルゲンに対するIgE抗体によって起こります。
通常は、消化管や免疫の防御反応が「無駄なIgE抗体」を作らないように調節しています。
しかし、その仕組みが体質的に弱かったり、未熟だったりすると、 IgE抗体が過剰に作られてしまい、アレルギーを発症してしまうのです。
皮膚のかゆみの原因
アトピーや食物アレルギーによって皮膚に炎症が起こると、犬の脳はヒスタミンというかゆみ物質を分泌します。
ヒスタミンは、アレルゲンによって肥満細胞が刺激されることで分泌され、脳の知覚神経に作用し、かゆみとして伝わります。
誰もが感じたことのある「かゆみ」は、いわゆる皮膚からアレルゲンを排出するための防衛本能で起こっているもの。
かゆみ敏感状態になっている可能性も
体内環境の悪化や免疫力の低下によっても、皮膚のかゆみは引き起こされます。
目にみえる炎症は起きていないのにかゆい、という状態は、アトピー性皮膚炎の犬によくみられます。
痒みの種類には「皮膚に外見的な異常が見られる末梢性」と「皮膚に異常が見られない中枢性」の2種類があり、アトピーのかゆみは中枢性のものが多いといわれています。
つまり、見た目には炎症が起きていなくても、内側では炎症が起こっているということです。
アトピーと食物アレルギーの判別
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの皮膚炎はとても似ているので、見た目だけでは区別が難しいです。
アトピーの犬の半分は食物アレルギーを持っているという報告もありますし、「うちのこはどっちなんだろう?」と悩んでいる方も多いでしょう。
アトピーと食物アレルギーを判別する方法としては、主に「季節性」と「消化器症状の有無」の2つがあります。
季節性
アトピー性皮膚炎は環境アレルゲン(花粉やダニ、カビなど)に対するアレルギーであり、これらアレルゲンとの接触が増える季節になると、症状が悪化する傾向があります。
対して食物アレルギーは、年間を通じて症状がある場合が多く、季節で重症度が変化することはありません。
消化器症状の有無
食物アレルギーの場合、お腹がゆるかったり、排便回数が多かったりと、消化器症状が伴うことも多いです。
アトピー性皮膚炎では消化器症状がみられることはないので、皮膚のかゆみに加え消化器症状があるようなら、食物アレルギーが疑われます。
出典:ロイヤルカナン 犬と猫の栄養成分辞典|もしかしたら病気のサインかも!?②食物アレルギーhttps://www.royalcanin.co.jp/dictionary/column/images/20151221/images_02.jpg