愛犬が体を噛んだり、引っ掻いたりしているのを見るのは、辛いものですよね。
人間と同じく、アトピーの痒みや皮膚の荒れ、乾燥などは、犬にとっても大変なストレスといえます。
今回は、そんなアトピーの治療法として認可された新薬「抗体医薬:ロキベトマブ」の特徴について解説します。
今までのアトピーは対症療法がメインだった
犬のアトピーには体質が大きく関係しており、根本的な改善には時間がかかります。
そのため、多くの動物病院ではアトピー自体を治すのではなく、アトピーによる辛い症状を軽減する治療法をメインに行っていきます。
一般的に、アトピー治療をする際に有効とされている治療法には、「ステロイド」や「抗ヒスタミン剤」の投与があげられます。
ステロイドは主に炎症を鎮めたり、アレルギー反応を抑制してくれます。
対して抗ヒスタミン剤は、痒みの原因になる体内物質「ヒスタミン」の産生を防いでくれる、安全性の高い薬です。
効果はステロイドのほうが高いですが、そのぶん副作用が起こりやすいのがデメリットですね。
犬専用のアトピー治療薬「ロキベトマブ」
アトピーの治療では、これら以外にも様々な手法があります。
ただ「塗ったそばから薬を舐められてしまう」「犬が薬をなかなか服用してくれない」という悩みを抱えている飼い主さんも多く、なかなか症状の改善が難しいことも。
こうした悩みをもとに、新たな治療法として生み出されたのが「抗体医薬:ロキベトマブ」です。
抗体医薬:ロキベトマブとは、アトピー性皮膚炎のかゆみに関係する体内物質をピンポイントで抑えることができる薬です。
人間のアトピー治療薬として作られた薬を元に作られた注射薬で、日本では2019年に正式に認可されました。
・投与は1ヶ月に1回の注射なので、自宅での投与や通院の手間がなくなる
・効果が出るのが早く、1日くらいで効果が期待できる
・副作用が少なく、安心して使用できる
・アトピー体質を改善する薬ではないため、続けて投与する必要がある
・薬の費用が高い(目安としては、ロキベトマブ注射液・1本で約10,000円前後)
・新しい治療法のため、長期の管理方法が確立されておらず、取扱っている病院も少ない
なお、ロキベトマブは、アトピーによるかゆみにブレーキをかける薬です。
そのため、投与を止めればアトピーの痒みは再発しやすく、犬のアトピー体質を根本的に治してくれるわけではありません。
慢性的な掻きによって傷ついていた皮膚バリアが回復すれば、それだけ外部からの刺激にも対応できるようになり、アトピーの重症度は軽くなります。
現在の治療法であまり効果が期待できない場合や、わんちゃん自身に体を引っ掻いてしまう癖がついている場合は、ぜひかかりつけの先生に相談してみてはいかがでしょうか?
さいごに
今回は、犬のアトピー性皮膚炎の治療薬「抗体医薬」について解説しました。
アトピーは根本的な解決が難しく、お悩みの方も多いと思いますが、ロキベトマブのような画期的な薬が開発されたのはとても嬉しいことです。
あなたとあなたの愛犬が、これから先ストレスなく幸せに暮らせますように、心から願っています。